Epiレーシック体験 〜手術編〜

先々週にEpiレーシックを受けました。今回の体験は、自由診療ではありますが自分が一人の患者として手術を受けるプロセスを体験することができ、様々な点で勉強になったと思います。

まず強度近視性乱視+角膜が薄いという検査結果から、4つのレーシック専門クリニック+知り合いの眼科ドクター2名から、それぞれ以下の診断・アドバイスをもらいました。
1. 手術不適応 2件
2. フェイキックIOL 1件
3. Epiレーシック 1件
4. 現段階での実施延期を推奨 2件


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度数
右)0.03(S-9.00 C-2.00 A 3)
左)0.04(S-9.00 C-2.00 A178)


角膜厚
右)489 左)483 
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ちなみにドクターショッピングをしたわけでは決してないのですが、正直、各クリニック・医師毎にここまで見解が分かれることに驚きがありました。現在は屈折矯正に関しては、統計的なデータが不足しており、学会の最新データと各クリニック毎の経験則にかなり開きがあるのが現状でした。例えば、某クリニックのページでは、視力回復1.0以上が90%といった数値があるのですが、これは前提条件が違ってしまうと意味も大きく違ってしまいます。例えば、公表されている数値が全体100件のうち5%だったとしても、例えば角膜厚が500を切る母集団で統計を取った場合に、30%だとするとかなり高い率だと考えられます。


手術に当たっては、以下の二点を綿密に検討しました。
「実施可能か不可能かの二元論ではなく、それぞれ術式のメリット・デメリットを数値ベースで論理的に整理すること」
「手術方針、術後の想定されるリスク(%)と矯正可能性について確認をし、その上で自分のライフスタイルにとって今回の手術が適正であるかを最終判断すること」


国内レーシックの文献やサイト情報、FDAのデータなどをサーベイしてチャートに整理、ドクターとのカウンセリングに臨みました。
1. 手術方針
2. クリニック毎の見解
3. 想定されるリスク分布
4. その他疾患との関連性
5. ライフスタイルと価値観


自分の場合は一日10時間以上PCを操作するため、手元が見えずらくなっても困ってしまいますし、一方で夜間見づらくて運転がしづらいくらいは、回避のしようもあるし、例えば他のツール(眼鏡とかサングラスとか)で矯正可能であるならば、そこまで致命的な副作用ではないわけです。これは人の生活によってそれぞれのメリット・デメリットも変わりますし、度数・角膜厚などによってもその発症確率が変わります。時間経過によってもその改善効果は徐々に変化します。最終的には、僕は執刀医の先生の判断と説明力を信頼して、手術を決意しました。おそらくクリニック側としてはとっても面倒な患者だったと思うのですが、、、非常に紳士にかつロジカルに対応してくれた院長先生、および現場スタッフの方々、運営されているメンバーの方々の姿勢に共感できたことが一番の決め手だったと思います。結果として、現在は裸眼で右1.2、左10.が見えており非常に快適です。夜間のハロ・グレアも最初からほぼなく、Epiの術後としてはかなり好調となっています。


不適応という診断の先生からは、「現在の角膜厚・度数から考慮するに、今後技術革新があったとしても、数値から判断するに矯正視力には限界がある」というコメントをもらいましたが、これも判断として間違っているわけでは決してないと思います。実際おおよそですが、度数* 12 = 削る厚みのため、10.25*12=123 480(術前角膜厚)−123(削る量) = 357ミクロン(Epi術後の残存角膜厚)というぎりぎりを覚悟していました。

※ 従来までは眼圧のラインは400が十分ライン、380が安全ラインと言われていたが、最近は350という学説もある。


ただ、Visxのレーザーの場合、99ミクロンで可能なため、右眼の残存厚は、390 左眼は、384。角膜形状なども考慮する必要がありますが、最終的にさらに少ない90ミクロン程度で僕の場合は済みました。来院〜検査〜手術〜術後までの一連のプロセスは、非常に勉強になりました。医療の不確実性と神秘性(決して成功・不成功の二元論ではなく、総合的に様々な想定項目・可能性を考える必要があること)、医療情報検索(検索エンジン、ビッグキーワードだけでなくロングテールワードへのSEO対応、CGM/集合知の活用等)と論理的な判断の重要性、その他セカンドオピニオン・最新医療テクノロジー動向の変化スピードなどなど。


今回の経験を今後に生かしていきたいと思います。長々と書いてしまいましたが、今は夢の裸眼生活が送れており、レーシックを受けてよかった!と心底思っています。確立された医療技術・正しい情報提供のもとでは、レーザーによる治療は今までの眼鏡・コンタクトに続いて、視力矯正、ひいては生き方・ライフスタイル(ちょっと大げさ?)のパラダイムの転換があるくらいすばらしい技術な一方で、そのうちのどれかが欠けただけでも特に眼のことという意味でも非常に怖く、恐ろしい技術でもあります。今後、正しい形での患者さんへの啓蒙、サービスの普及に少しでもお役に立てればと思います。


もし、今回作成したチャートが参考になるのであればご希望あれば言って頂ければすべてオープンにしたいと思いますのでご連絡ください